このブログでは現役ITインフラエンジニアでフリーランスで活動中の私が、「ITインフラエンジニアって何?」「どうやって就職するの?」といった疑問を解消するために解説していきます。
・ITインフラエンジニアってどんな仕事?
・ITインフラエンジニアの仕事の流れ
・システムエンジニアとITインフラエンジニアの特徴とどちらが向いているか
・ITインフラエンジニアに就職するためにすること
・ITインフラエンジニアの求人の見方、おすすめのサイト
ITインフラエンジニアとは?
ITインフラエンジニアという職業は、新卒や未経験の方は聞いたことがないと思います。
私が新卒の時は「ITといったらプログラマ/システムエンジニアしかない」みたいな考えで、特に調べもせずにシステムエンジニアの仕事を探していました。
今ではもっと調べたら良かったなと感じています。
皆さんはそうならないように、ITインフラエンジニアがどういったものかを説明するために「システムエンジニア」と比較して解説していきます。
システムエンジニア(SE)とは?
ざっくりシステムエンジニア(以下SE)とはどういった職業かといえば「お客様の問題を[プログラム]を利用して解決する」仕事です。
例えば「東京駅までの乗り換え方法が分からない」というお客様に対して「乗り換え案内」というシステム(アプリなど)を作って問題を解決するのがSEの仕事です。
東京駅までの乗り換え方法が知りたい!(問題)
では乗り換え案内という、行先の駅を入れると路線の乗り換え情報を表示してくれるシステム(アプリ)を作ります!(解決)
SEはこの問題が出てきたときに以下のように考えて仕事を進めていきます。
・お客様は具体的にどういったことがしたいのか、他にやりたいことはないのかをヒアリングする:「ヒアリング」
・プログラムを書く言語はどうするのか:「プログラミング言語の決定」
・色んな部署や会社から人を集めて実際に作る:「人材確保+製品作成」
・作ったものが正常に動くかテストする:「動作テスト」
そうして完成したシステム(アプリなど)をお客様に納品して、対価としてお金をもらうのがSE(システムエンジニア)の仕事です。
ITインフラエンジニアとは
ITインフラエンジニアの職業はどういったものかというと「お客様の問題をネットワークやサーバーなどのITインフラを利用して解決する」職業になります。
ネットワークとは「離れた場所にあるパソコンやスマートフォンなどを通信できるようにするもの」
サーバーとは「お客様に必要な[電車の発着時間の情報]などの大量のデータを保存しておく場所」のことです。
先ほどの例で説明すると、
乗り換え案内というアプリには「時刻表などの大量のデータ」を保存する場所が必要だから作って欲しい。
じゃあ時刻表などの情報(データ)を保存する「サーバー」を作りますね。
保存した時刻表から計算した「乗り換え情報」をお客様のスマートフォンに送信しないといけないから、ネットワークを作って欲しい。
じゃあ[サーバー]からインターネットを繋いで情報を通信する経路「ネットワーク」を作りますね。
このようにお客様のシステム(アプリ)を作る上で必要になるもの「サーバー」や「ネットワーク」を作る人がITインフラエンジニアです。
サーバーはシステム(アプリ)を置く「お店」、ネットワークはお店への「道」のようなもので、これらはITの世界に必要不可欠となります。
そのためITの世界のインフラ=ITインフラと呼ばれています。
お客様は自社や他社のSEやITインフラエンジニアであったり、ITを導入したい一般企業だったりと様々です。
この「お店」に置く商品を作るのがSEやプログラマーになります。
ITインフラエンジニアの仕事の流れ
では実際にITインフラエンジニアがどういった風に仕事をしているかを実体験を元に説明します。
基本的な流れは
「仕事の依頼」⇒「要件定義」⇒「設計」⇒「構築」⇒「テスト」⇒「運用、保守」
の順番に進みます。
「乗り換え案内システムを作るから、必要なサーバーとネットワークを作ってほしい」といったお客様からのお願いのことです。
必要なサーバーはどんな大きさが必要?
⇒時刻表などを置くデータ量で決める
サーバーでは何をする?
⇒時刻表を置いて計算する
ネットワークには何人ぐらいがアクセスしてくる?
⇒1日に1万アクセスを耐えられる程度
セキュリティの強度はどれぐらいにする?
⇒標準的なセキュリティにする
といった「依頼」をできるだけ詳細で具体的な内容になるように話し合って決めることです。
ここではお客様と話し合って細かい内容を探っていくのですが、お客様はITの知識が無いことも多いので忍耐強く何度も話合い、分かりやすい説明をしてお客様に納得してもらう必要があります。
基本的にはPMやチームリーダーといった上位の役職の人が進めていきます。
「要件定義」で決まった内容を元にどうやって作るかを細かい設定値まで調べて設計書を作ることです。
この工程では手分けしてみんなで作業することが多いです。
案件の規模が大きいと10人前後、小さいと2人程度での仕事になります。
詳しい知識がいる工程なのでベテランの人を主体に、色々と調査(Googleで調べたり説明書を読んだり)して設定値に間違いがないことを確認しながら慎重に進めていきます。
「設計」で決まった機械や設定値を使って実際に作り上げることです。
ここでは決まった内容に沿って機器に設定を入れていくだけなので、詳しい知識は必要でないことが多いです。ですが最低限の知識は必要なので新卒から仕事をする場合は一つづつやり方を調べながら進めていくことになるでしょう。
「構築」で作ったものが問題なく動くことを確認することです。
ここではテストの仕様書をベテランが作り、それに沿って若手がテストしていく形が多いです。
小さい案件では1人でどちらも作業することも多いです。
ここまでが「構築チーム」の仕事となり、次の「運用・保守」は「運用チーム」という別チームの仕事に分けていることが多いです。
「構築チーム」が作ったITインフラを整備・調整・監視する仕事です。
例えばアプリに新しい機能を追加するときに設定値を少し変更したり、システム(アプリ)がうまく動かなくなったことを監視して早期対策したりといった仕事をします。
リーダーなど以外では、技術力はあまり必要ではないため長期間仕事するのには向きません。
「構築チーム」とは要件定義からテストまでを実行するチーム
「運用チーム」とは運用保守を仕事とするチーム
どちらも同じ会社で行う場合もありますが、それぞれ独立した会社となる場合もあります。
入社する場合は「構築」を仕事とする会社は様々な知識を吸収でき成長できるのでおすすめです。
逆に「運用保守」を仕事とする会社は、あまり技術が身に付かないことが多いのでおすすめできません。ただ、採用率は高いので、運用保守で働いてから構築の会社に転職するのは一つの手だと思えます。
SEとITインフラエンジニアどちらに向いているか
多くの人の選択肢であるSE(システムエンジニア)も同じくモノづくりですが、ITインフラエンジニアとは仕事内容が結構違いますのでそれぞれの特徴と違いを解説します。
SEの仕事の特徴、向いている人
SEの仕事の特徴は何と言っても「プログラミング」にあります。
「プログラミング」は今では少し学校で体験した人もいるかもしれません。
ものすごく簡単に言うとプログラミングは数式、文字式を使って命令した通りに動くシステム(アプリ)などを作ることです。
プログラミングでは以下のように式を使うなど式を使ってコンピューターへの命令(コード)を書いていきます。
#include <stdio.h>
void
main(){
printf
(
"HelloWorld.¥n"
);
}
このプログラミングは最初は抵抗がある人が多いと思います。
自分にはできるのか不安な人は無料のプログラミングソフトを使うなどして試してみると良いでしょう。
またプログラミングは「メモ帳」でもつくれるので「Hello,World」というウインドウをPC画面に表示するなど試してみても良いと思います。
プログラミングは数式だけでなく文字式をメインに作ることもありますので、必ずしも数式を使うわけではありません。
ですので、数式が不得意な人も一度試してみると意外に合う人もいるかもしれません。
・数式や文字式にアレルギーが少ない人
・細かい作業が好きな人
・論理的に考えて答えにたどり着ける人
・勉強でいうと数学や物理などの理論系、英語が得意な人
ITインフラエンジニアの特徴、向いている人
ITインフラエンジニアはSEに比べてプログラミングの頻度はかなり少ないです。
SEが「無いものを作る」仕事であれば、ITインフラエンジニアは「あるものを集めてきてカスタマイズする」仕事と言えます。
例えば、パソコンやスマートフォンを初めて買ったときの初期設定、細かい設定を調べて設定することが似ていると思います。
あなたはスマートフォンのWifiを繋いだり、SIMを交換したりしたことはあるでしょうか。
初めての時はどうやったらいいか分からず、検索したりして調べながら少しづつ設定したはずです。
そういったように、やりたいことに対して「設定値」を調べて問題を解決する。といったことを毎日繰り返しするのがITインフラエンジニアです。
・分からないことを調べることに抵抗がない人
・説明書を細かく読める人
・論理的に考えて答えにたどり着ける人
・勉強でいうと暗記系+少しの理論系、英語が得意な人
入社後の仕事の流れ・役職について
新卒や未経験の場合、まずは勉強しながら簡単な構築をしたりテストしたりすることになるでしょう。
始めの内は分からない言葉が多く理解するのに時間がかかるかと思いますが、一度覚えればそのまま使えるので積み重なるとどんどん意味が分かってくると思います。
ただ、ベテランで合っても毎回同じものを作ることはありませんので、毎回調べながら作ることになります。
「分からないことを調べること」が苦手な場合はかなりつらい仕事になるかと思いますので、そういった人にはおすすめできません。
ベテランになると「PM(プロジェクトマネージャー)」をするように会社から言われる(押し付けられる)ことが多々あります。
PMの仕事はプロジェクトの「スケジュール管理」「お客様との話し合いや調整」「仕事の割り振り」など技術の仕事+αの仕事をしなくてはなりません。
そういった仕事が好きな人は良いですが、面倒くさいことが増えるので嫌いな人が多いです。
・「技術職」:構築~運用保守など実作業をする人全般。若手~ベテラン
・「PM」:スケジュール管理やお客様との調整業務などの案件推進業務をする人。ベテラン
PMが有能な人だと残業も少なく、余裕を持った仕事ができることが多い。
・「部長など役職者」:部署や課をまとめる人。会社の業績や目標の設定、他社との交渉などすることが多いが技術系の仕事は無くなる。
残業が多いが年俸性のため給料がわりに合わないことが多い。
現役フリーランスの私から見たITインフラエンジニアになるメリット・デメリット
10年程度業界で働いてきた私から見てITインフラエンジニアは給料も良い方で他業種と比較して良い職業だと思えます。しかし、案件によっては残業が多かったりと悪い面もあります。
良くも悪くもいわゆる上司、案件ガチャは少なからずありますが、常に人が足りない業界なので転職は比較的簡単にできると思います。
辞める勇気があればいい場所を見つけられる可能性は高いでしょう。
以下にメリットとデメリットをまとめてみました。
・SEに比べて0から仕組みを考えて仕事することは少ない
※基本設計や詳細設計をするときは仕組みを考える必要がありますが、企業で推奨の構成があったりとテンプレートが整備されていることが多いです
・オフィスワークなのでクーラーの効いた部屋でおやつを食べながら仕事できる
・在宅ワークが浸透している業界なので在宅ワークに寛容
※ITインフラは実際に機械を触ることも多いのでSEに比べると在宅は少なめ
・IT業界は他業界に比べて比較的給料が高い
・転職が普通の業界なので、嫌な職場は簡単に変えられる
・残業は案件やPMの腕次第。残業が全くない案件もあれば月50時間以上の案件もある
会社や案件によるので就職前に残業が多いかどうかを見極めるのは困難。体感では大企業であるほどPMがしっかりしているため残業は少ない
・運用、保守系の仕事だと時間外に障害などでの呼び出しがあることもある
・フルリモート案件はSEに比べて圧倒的に少ない。というかほぼ無い
・転職する勇気が持てない人はつらい職場に当たった場合に逃げにくい
・夜勤がたまにある。案件によるが月1~3か月に1回程度
私は新卒から3年ほど働いて転職、その後11か月で会社を辞め、フリーランスとして今働いています。
フリーランスでも1年程度で違う職場に移動するなど、色々な職場を転々としています。
会社に依存することが少なく、転職も簡単な業界なのでこのような働き方ができているのだと思います。
就職するためにするべきこと
ITインフラに限らずIT業界は「実績」を何より大事にする業界だと体感しています。
実際に私は資格を持っていませんが、色々な仕事を経験してきた実績から採用されることが多いです。
実績で「入社・案件参加の判断」をし、資格は「入社・案件参加する確率を上げるもの」と考えるのが良いでしょう。
ただ、新卒や中途の場合は実績はまだ無い状態だと思います。
そのため、資格(基本情報技術者など)を勉強してやる気を見せることや、
仕事について調べてアピールすること。
自己分析をして自分の性格や実体験が生かせることをアピールをすることが考えられます。
私が今新卒に戻ったとしたら、以下のようなことをすると思います。
・基本情報技術者資格、CCENT(ネットワークの資格)を取る、勉強する。
・PCでバッチ(インフラでよく使う簡単なプログラム)を作成したりして自動バックアップを取る設定をしたり、Windowsの設定変更をしてみたりして試してみる。
・知っているサービス(LINE、乗り換え案内)などのシステムの仕組みを調べて図を書いてみる。その際に得た知識でアピールする。
実際に採用担当の人と話したことがありますが、未経験で中途採用の場合何もしないで応募する人が多数で何か行動している人は稀のようです。
そのため、資格取得とまでは行かなくても、ITインフラについて調べて仕事内容を理解しようとしているだけで他の人より頭一つ抜けた状態になります。
IT業界は「実績」がすべてなので、まずは小さくても会社に入り経験を積みつつ、仕事をしながら転職活動をするのがオススメです。
転職活動は今の会社を辞めることなくできるので、「実力がある程度ついたな」と思えばすぐ行動してみるのがいいでしょう。
もちろん良い会社に入れて満足できたならそのままが一番ですが。。
新卒、未経験では入社に失敗することも多いですが、会社はたくさんあるので大手にこだわらず色々と応募してみると良いと思います。
私は新卒の時、10数社受けて受かったのは2社でしたが、転職の時は実績があるので応募すれば採用されました。
ITインフラエンジニアの求人情報の見方
・SIer:お客様から依頼を受けて最初から最後まで仕事をする会社。大企業に多い。SIerの現場に他の会社が派遣のように客先常駐して働く場合が多い。
実際に求人を見てみて自分ならどんな求人が良いか考えてみました。
※会社についてのリサーチまではしていないので、実際に応募するときは仕事内容、会社のリサーチは自己責任でお願いします。
リクナビで「インフラエンジニア」でキーワード検索したところ、ITインフラを専門にしている会社が出てきました。
このようにITインフラメインの会社を受けてみるか、SEとITインフラどちらもやっている会社を受けるか選択することになります。
SEとインフラどちらもやっている会社では「最初の3か月はプログラミングの研修をする」など決まりがあるので、ITインフラをメインとする会社ではない場合はスタートが遅れる可能性があります。
また最悪の場合、インフラの人数は足りていて、SEしか選択できない可能性もあります。
気になる場合は説明会や面接で質問してみるといいと思います。
おすすめの就活方法
皆さん就活はどうやって進めてるでしょうか。
ぶっちゃけると「おすすめの求人サイトや就活エージェントはこれ」といったものはありません。
ただ、強いて言うなら大手のサイトやエージェントが良いでしょう。
なぜなら企業が大手のサイトに求人情報を掲載するには「お金がかかる」からです。
お金をかけて人材を集めたい会社の方が会社の経済力に余裕があり、社員への給料を上げたり、人を集めて残業を減らしたりすることができます。
企業のお金の負担が大きい順は以下になります。
「就職・転職エージェント」>「リクナビ、マイナビなどの求人サイト」>「ハローワーク」
これを基準にすると、就職・転職エージェントを使うのが一番いい会社に入れる確率が高いと言えます。
エージェントは色々な相談にのってくれるので気兼ねなく使えるのであればおすすめです。
あまり話すのが苦手という場合は求人サイトでも問題ないかと思います。
一応大手の就活エージェント、求人サイトへのリンクを貼っておきます。
https://job.rikunabi.com/agent
https://shinsotsu.mynavi-agent.jp
新卒での就活は大変だと思いますが、就職した後の転職はだいぶ楽なので気負わず気軽にするのが良いかと思います。